
実際に用を足せるように他の便器と一緒に並べて置いてある。美術作品にむかって小用を足すのは何とも愉快である。
以前、ここの館の学芸員で現代アートに詳しい方がいたので、この方が設置されたのだと思う。
現代アートは遊び心があるので面白い。

ここにある牛波(NIU-BO 1960〜)の「泉水」は、便器として使用する作品です。
1917年、マルセル・デュシャンは「泉」と題した作品を発表しました。
デュシャンは日用品である便器を。唐突に美術作品として提示してしまったのです。それまで美術作品は、作者によって作り出されるモノでしたが、デュシャンは日用品の見方を変え新たな題名をつけることで便器を美術作品にしてしましました。当時、狂気の沙汰といわれたデュシャンの芸術観念こそ、今日の現代美術の父となっているものです。
牛波の「泉水」は、デュシャンの冒険をもう一度もとの形に戻してしまうという概念を作品にしています。便器として使用する私たちの行為が現代美術の歩んできた美術史を顕彰すると考えると、どこか愉快ではないでしょうか。
